「猫ちゃんが急に下痢をした」
「元気はあるけれど、病院へ連れて行った方がいい?」
「便に血が混じっていたけれど、大丈夫かな?」
猫ちゃんが下痢をすると、すぐに病院へ連れて行くべきか、少し様子を見てもよいのか迷うことがあります。
猫の下痢には、一時的な食事の変化などで起こるものから、感染症や慢性的な腸の病気など、さまざまな原因があります。
下痢が何日続いているかだけでなく、便の状態、回数、食欲や元気、嘔吐の有無を合わせて判断することが大切です。
特に、何度も水のような下痢をしている、嘔吐を繰り返している、ぐったりしている場合には、早めの受診が必要です。
今回は、猫ちゃんが下痢をしたときに確認したいことと、動物病院を受診する目安についてお話しします。
猫の下痢は何日続いたら病院へ行くべき?
まず、下痢をした猫ちゃんの全身状態を確認しましょう。
すぐに受診した方がよい場合
次のような症状がある場合は、下痢が始まってからの日数にかかわらず、速やかに動物病院へ相談してください。
- ぐったりしている、反応が鈍い
- 嘔吐を繰り返している
- 水のような下痢を何度もしている
- 黒いタール状の便が出ている
- 大量の血液が便に混じっている
- お腹を強く痛がっている
- 異物や中毒の原因になるものを食べた可能性がある
特に、下痢と嘔吐が同時に起こっている場合は、脱水が進みやすくなるため注意が必要です。
早めに受診した方がよい場合
食欲が落ちている、下痢の回数が増えている、便に血が混じる、体重が減っているといった場合は、早めに受診しましょう。
また、子猫、高齢猫、持病のある猫ちゃんでは、軽い下痢でも体調が悪化することがあります。
短時間、様子を見られる場合
成猫で、軟便が1回出ただけであれば、すぐに受診が必要とは限りません。
普段どおり食べていて、元気があり、嘔吐もなく、その後の便が正常に戻るようであれば、短時間様子を観察できる場合もあります。
例えば、前日にいつもより多く食べていたり、普段とは違うフードやおやつを食べたりしたことで、一時的に便が緩くなることもあります。
ただし、翌日になっても下痢が続く場合や、症状が悪化する場合は受診をおすすめします。
「何日までなら大丈夫」と決めるのではなく、便の状態と猫ちゃんの様子を合わせて判断してください。
猫が下痢をしたときに確認したいこと
便の回数と硬さ
まず、普段と比べて便の回数が増えていないかを確認してください。
1日に何度もトイレへ行き、少量ずつ軟便をする場合もあれば、1回に大量の水様便をする場合もあります。
便の硬さも大切な情報です。
形はあるけれど柔らかい便なのか、泥状なのか、水のような便なのかを確認しましょう。
また、ゼリー状の粘液が付いている場合もあります。
血便はありませんか?
猫ちゃんの下痢に血が混じっていると、驚く飼い主さんも多いと思います。
ただし、血便にはいくつかの種類があり、緊急性も異なります。
赤い血が付いている場合
便の表面に鮮やかな赤い血が付いている場合は、大腸や直腸などからの出血が考えられます。
大腸炎などでもみられるため、少量の鮮血があるからといって、必ずしも重い病気とは限りません。
便が硬すぎて、排便時に肛門や直腸の粘膜が傷つき、出血することもあります。
また、便の最後の方だけが緩く、血液や粘液が混じる状態を繰り返す場合には、慢性的な大腸炎や食事に関連した腸の病気などが隠れている可能性もあります。
出血を繰り返している場合や、下痢が続いている場合は受診が必要です。
黒いタール状の便が出ている場合
黒く、粘り気のあるタール状の便は、胃や小腸などの消化管で出血している可能性があります。
このような便がみられた場合は、速やかに動物病院へ相談してください。
なお、便の色は食事や薬などの影響でも変わるため、見た目だけで出血の有無を確定することはできません。
食欲や元気はありますか?
下痢をしていても、普段どおり食べていて元気な猫ちゃんもいます。
一方、食欲が落ちている、寝てばかりいる、隠れて出てこないといった場合は注意が必要です。
普段の食事量を100%としたときに、現在は何%くらい食べているのかを確認しておくと、診察の際にも役立ちます。
また、下痢が長く続いている場合には、体重が減っていないかも確認してください。
「猫が元気ない・ずっと寝ている|病院へ行くべき症状と受診の目安」の記事はこちらから
嘔吐を伴っていませんか?
下痢と同時に嘔吐が起こっている場合は、脱水や電解質異常などに注意が必要です。
特に、何度も吐いている、水を飲んでも吐いてしまう、吐いたあとにぐったりしている場合は、早めの受診が必要です。
また、異物を飲み込んだ場合にも、嘔吐や下痢がみられることがあります。
「猫が吐くのは病気?回数・色・一緒に出る症状から考える受診目安」の記事はこちらから
猫の下痢にはどんな原因がある?
猫の下痢には、さまざまな原因があります。
食事によるもの
急にフードを変更したり、食べすぎたり、普段食べ慣れていないものを食べたりすると、下痢をすることがあります。
飼い主さんの知らないところで、フードやおやつを盗み食いしていたという場合もあります。
また、特定の食材が体質に合わず、下痢を繰り返す猫ちゃんもいます。
寄生虫や感染症
回虫、ジアルジア、コクシジウム、トリコモナスなどの寄生虫・原虫が下痢の原因になることがあります。
特に子猫や、多頭飼育環境で暮らしている猫ちゃんでは注意が必要です。
原因によって検査方法や治療が異なるため、必要に応じて便の検査を行います。
慢性的な腸の病気
下痢が長く続く、よくなったり悪くなったりを繰り返す場合には、慢性腸症などが考えられます。
また、食事に関連した腸の炎症や好酸球性腸炎、消化管のリンパ腫などが関係している場合もあります。
強いストレスや生活環境の変化によって、腸の働きが影響を受け、便が緩くなることもあります。
こうした病気では、下痢だけでなく、体重減少や嘔吐、食欲の変化などがみられることがあります。
腸以外の病気
膵臓や肝臓などの病気、甲状腺機能亢進症などでも、下痢が起こることがあります。
特に高齢猫で、下痢と体重減少が続いている場合には、腸以外の病気も含めて確認することが大切です。
「うちの猫はお腹が弱い」と諦めていませんか?
「昔からお腹が弱いんです」
「ずっと軟便だけど、この子の体質だと思っています」
診察をしていると、こうしたお話を聞くことがあります。
でも、「お腹が弱い」というのは病名ではありません。
軟便や下痢を繰り返す猫ちゃんには、食事が合っていない、腸内環境のバランスが崩れている、慢性的な腸の炎症があるなど、さまざまな原因が考えられます。
また、生活環境の変化やストレスが、便の状態に影響することもあります。
当院では、こうした猫ちゃんに対して、まず食事内容や生活環境、これまでの経過を詳しく確認します。
そのうえで、必要な検査を行い、食事の種類や与え方の見直し、腸内環境に配慮したサプリメントの活用、生活環境の改善などを組み合わせて管理していきます。
もちろん、すべての猫ちゃんが食事やサプリメントだけで改善するわけではありません。慢性的な腸の病気などが隠れている場合には、その原因に応じた治療が必要です。
それでも、長年続いていた軟便や下痢が、食事や生活環境を見直すことで改善する猫ちゃんもいます。
「この子はお腹が弱いから仕方ない」と諦めずに、一度ご相談ください。
動物病院ではどんな検査をする?
下痢の原因を調べるためには、便の状態だけでなく、年齢や症状の経過、食事内容などを確認することが重要です。
ルル キャットクリニックでは、猫ちゃんの症状に応じて必要な検査を検討します。
以下、当院で実施できる検査をご紹介します。
便の検査
便の中に寄生虫や原虫などがいないかを確認します。
必要に応じて、特定の病原体を調べる検査を追加することもあります。
血液検査
脱水や炎症の程度、肝臓・腎臓などの状態を確認します。
症状によっては、甲状腺ホルモンなどを調べることもあります。
レントゲン検査
腸内のガスの状態や便のたまり具合、腹部臓器の位置や大きさなどを確認します。
異物や腸閉塞などが疑われる場合にも、必要に応じて実施します。
超音波検査
腹部超音波検査では、腸の壁の厚さや構造、腸の動き、周囲のリンパ節などを確認できます。
また、腸以外の臓器に異常がないかも調べることができます。
内視鏡検査
慢性的な下痢が続く場合などには、内視鏡検査を検討することがあります。
内視鏡では消化管の粘膜を直接観察でき、必要に応じて組織を採取して詳しく調べることができます。
ただし、すべての下痢の猫ちゃんに内視鏡検査が必要なわけではありません。
「猫の内視鏡検査でわかること|異物摘出、胃腸の検査、麻酔について」の記事はこちらから
猫が下痢をしたとき、自宅でできること
水分を取れるようにする
下痢をすると、便と一緒に水分が失われます。
新鮮な水をいつでも飲めるようにしておきましょう。
ただし、ぐったりしている猫ちゃんや、吐いている猫ちゃんに無理やり水を飲ませることは避けてください。
自己判断で絶食させない
下痢をしたからといって、自己判断で長時間絶食させることはおすすめしません。
猫は食事を取れない状態が続くと、別の健康上の問題が生じることがあります。
食事をどのように与えるかは、嘔吐の有無や全身状態によって異なります。
人間用の下痢止めを使わない
人間用の整腸剤や下痢止めを、自己判断で猫ちゃんに与えないでください。
猫には適さない成分が含まれていることもあります。
また、下痢の原因によっては、症状を抑えるだけでは適切な治療にならない場合があります。
便の写真やサンプルを残しておく
下痢の状態は、診察時には確認できないこともあります。
便の色や硬さ、血液や粘液の有無などが分かる写真を撮っておくと、診察の参考になります。
また、可能であれば新鮮な便を少量、清潔な容器に入れて持参してください。
まとめ
猫の下痢は日数だけで判断しないことが大切です
猫の下痢は、一時的な食事の変化などで起こることもあれば、感染症や慢性的な腸の病気が原因になっていることもあります。
大切なのは、下痢が何日続いているかだけでなく、便の状態や回数、食欲、元気、嘔吐の有無を合わせて確認することです。
特に、繰り返す水様便、嘔吐、食欲不振、元気の低下、黒いタール状の便などがある場合には、早めに動物病院へ相談してください。
また、下痢が長く続く、繰り返す、体重が減っているといった場合には、原因を調べることが大切です。
「お腹が弱い体質だから」と諦めず、食事や生活環境も含めて改善できることがないか考えてみましょう。
猫ちゃんの下痢・繰り返す軟便はルル キャットクリニックへ
相模原市中央区のルル キャットクリニックでは、急な下痢だけでなく、長期間続く軟便や、繰り返す下痢についても診察しています。
「下痢がなかなか治らない」
「食欲も元気もあるけれど、いつも便が柔らかい」
「昔からお腹が弱いと言われている」
「いろいろなフードを試したけれど改善しない」
そんな猫ちゃんも、ぜひ一度ご相談ください。
原因を調べるとともに、食事や腸内環境、生活環境なども含めて、その猫ちゃんに合った管理方法を考えていきます。





