「寝ているのに、いつもより胸の動きが速い気がする」
「お腹を大きく動かして呼吸している」
「呼吸するときに変な音がする」
猫ちゃんの呼吸がおかしいと感じたときは、呼吸の回数と、呼吸の仕方の両方を確認することが大切です。
健康な猫ちゃんでは、眠っているときの呼吸数は多くの場合1分間に30回未満です。ただし、呼吸数がそれほど増えていなくても、鼻や喉など空気の通り道に問題があると、苦しそうな呼吸や大きな呼吸音がみられることがあります。
この記事では、ご自宅でできる呼吸数の測り方と、動物病院を受診する目安について解説します。

猫の呼吸数は「寝ているとき」に測ります

猫ちゃんの呼吸数は、運動や興奮、緊張などでも増加します。
健康な猫ちゃんでも、動物病院では緊張によって呼吸数が大きく増えることがあります。
そのため、ご自宅で確認するときは、遊んだ直後や起きて周囲を気にしているときではなく、猫ちゃんが落ち着いて眠っているときに測ってください。

呼吸数の測り方

猫ちゃんが眠っているときに、胸やお腹の上下を横から観察します。
胸が上がって、下がる。これで1回です。
30秒間の呼吸回数を数えて、その数字を2倍すると1分間の呼吸数になります。
たとえば、30秒で10回なら20回/分、15回なら30回/分です。
毎回なるべく同じような条件で測っておくと、「この子は普段どれくらいなのか」が分かるようになります。

眠っているときは「30回/分未満」が一つの目安

自宅で健康な猫ちゃんの呼吸数を調べた研究では、睡眠時呼吸数の中央値は約21回/分でした。
健康な猫ちゃんや、症状のない軽度〜中等度の心疾患がある猫ちゃんでも、平均的な睡眠時呼吸数は一貫して30回/分未満でした。
そのため、ルル キャットクリニックでは、眠っているときに30回/分未満を一つの目安として考えています。
ただし、一度30回を超えたからといって、それだけで病気と判断するわけではありません。
完全に眠っている状態でもう一度測ってみて、それでも30回/分を超える状態が続く、普段より明らかに増えてきた、40回/分以上が続いている、といった場合にはご相談ください。
大切なのは、一回の数字だけではなく、その猫ちゃん自身の普段の呼吸数から変化しているかを見ることです。
呼吸数が増えていなくても、呼吸がおかしいことがあります
呼吸の異常は、「1分間に何回呼吸しているか」だけでは判断できません。
たとえば鼻が強く詰まっていたり、鼻や喉などの空気の通り道が狭くなっていたりすると、呼吸数そのものはそれほど増えていなくても、

  • 息を吸いにくそうにする
  • 呼吸するときの音が大きい
  • 首を伸ばすようにして呼吸する
  • 口を開けて呼吸する

といった変化がみられることがあります。
「呼吸数は30回未満だから大丈夫」と数字だけで判断せず、普段と違う呼吸音や呼吸の仕方がないかも見てください。
以前はいびきをかかなかった猫ちゃんが急にいびきをかくようになった、鼻が詰まったような音がする、といった変化も診察の手がかりになります。

こんな呼吸は、回数を測るより受診を優先してください

猫ちゃんが口を開けて呼吸している、胸やお腹を大きく使って呼吸している、横になれず座ったまま呼吸しているといった場合には注意が必要です。
さらに、舌や歯ぐきが青紫色や灰色っぽく見える、ぐったりして反応が悪いといった状態は、重い呼吸障害でみられることがあります。
こうした場合には、正確な呼吸数を測ろうとして時間をかける必要はありません。
できるだけ興奮させず、動物病院へ連絡してください。

咳をしていないかも確認してください

呼吸がおかしいと感じたときには、咳の有無も大切な情報です。
猫喘息や気管支炎などでは、咳がみられることがあります。
もし咳をしている場合は、「咳をするかどうか」だけではなく、
「週に1回くらい」「2日に1回くらい」「毎日」「1日に何度も」
というように、頻度を記録しておいてください。
猫ちゃんの咳は、飼い主さまから見ると「毛玉を吐こうとしている」「吐きそうになっている」ように見えることもあります。
咳をしているところを撮影できれば、診察時に動画を見せていただくと判断の助けになります。

わが家の猫「もずく」も、咳がきっかけでした

実は、私が自宅で飼っている猫の「もずく」も、ある時から咳をするようになりました。
回数は1日に1〜2回程度。食欲もあり、元気もあります。一見すると大きな体調不良があるようには見えませんでした。
ただ、毎日のように咳をしていることが気になり、寝ているときの呼吸数を測ってみると1分間に30回前後。明らかな呼吸困難ではありませんが、普段の呼吸数としては少し気になる値でした。
そこで胸部レントゲン検査を行い、症状や検査所見を合わせて、軽度の猫喘息と判断しました。
現在は、1日2回ステロイド薬の吸入を続けています。
治療を始めてから咳の回数はかなり減り、現在は時々みられる程度です。咳が完全になくなったわけではありませんが、寝ているときの呼吸数も25回/分前後まで落ち着いてきたため、現在も経過をみています。
猫喘息の治療には内服薬を使用することもありますが、吸入薬を使って気道へ直接薬を届ける方法もあります。
猫ちゃんによっては吸入用のマスクに慣れるまで練習が必要ですが、上手に受け入れられるようになれば、長期管理の選択肢の一つになります。
もずくの場合も、「元気も食欲もあるから大丈夫」ではなく、毎日咳をしていることと、普段の呼吸数の変化が検査をするきっかけになりました。
咳の回数や寝ているときの呼吸数を記録しておくことは、こうした小さな変化に気づくためにも役立ちます。

大人しく吸入を受けているシンガプーラのもずくちゃん

猫の呼吸が速くなる原因

猫ちゃんの呼吸が速くなる原因は一つではありません。
心筋症などに伴う心不全による肺水腫、胸水、猫喘息や気管支炎、肺炎、気胸など、心臓や呼吸器のさまざまな病気が原因になります。
また、貧血、発熱、痛みなど、心臓や肺以外の問題でも呼吸数が増えることがあります。
一方、鼻や喉などの上部気道に問題がある場合には、呼吸数の増加よりも鼻づまり、呼吸音、いびき、息の吸いにくさなどが目立つこともあります。
そのため、呼吸の異常だけから原因を決めることはできません。
動物病院では何を調べる?
まず、呼吸数だけではなく、呼吸の仕方、呼吸音、姿勢、粘膜の色などを確認します。
そのうえで猫ちゃんの状態に応じて、聴診、血液検査、胸部レントゲン検査、超音波検査などを組み合わせて原因を調べていきます。
ただし、明らかな呼吸困難がある猫ちゃんでは、詳しい検査を急いで行うことがかえって負担になる場合があります。
そのような場合には、まず酸素投与などで呼吸状態を安定させ、状態を見ながら必要な検査を進めます。

自宅での呼吸を動画に残しておいてください

診察室では、緊張によって猫ちゃんの呼吸数が増えることがあります。
健康な猫ちゃんを対象とした研究でも、自宅で眠っているときの呼吸数に比べ、診察室では呼吸数が大きく増加することが報告されています。
呼吸がおかしいと感じたら、可能であれば猫ちゃんを動かさず、胸とお腹の動きが分かるように横から10〜30秒程度撮影しておいてください。
呼吸音、咳、いびきなどが気になる場合には、音も入るように撮影していただけると診察の参考になります。
ただし、明らかに呼吸が苦しそうな場合には、動画撮影よりも受診を優先してください。

猫ちゃんの呼吸が気になるときはご相談ください

相模原市中央区のルル キャットクリニックでは、猫ちゃんの呼吸が速い、呼吸が苦しそう、咳をする、呼吸音がおかしいといった症状についても診察しています。
「何回なら病院へ行く」という数字だけで判断するのではなく、普段の呼吸数からの変化や、呼吸の仕方も含めて確認することが大切です。
ご自宅で撮影した動画があれば、受診時にお持ちください。