「猫の避妊・去勢手術はいつ受ければいい?」

「まだ小さいけれど手術して大丈夫?」
「費用はいくらくらい?」「当日は何をするの?」
子猫ちゃんを迎えた飼い主さまから、よくいただくご相談です。
繁殖を予定していない猫ちゃんでは、初めての発情を迎える前、生後5〜6か月頃までをひとつの目安として避妊・去勢手術を検討します。
ただし、月齢だけで手術時期を決めるわけではありません。体重や成長の状態、その日の体調などを確認して、一頭一頭に合わせて手術時期を決めていきます。
この記事では、ルルキャットクリニックでの実際の避妊・去勢手術について、手術前の検査から当日、帰宅後までの流れをご紹介します。

猫の避妊・去勢手術はなぜ早めに考えるの?

猫ちゃんは、飼い主さまが思っているよりも早く性成熟を迎えることがあります。
女の子では生後4〜5か月頃から発情が始まることがあり、男の子でも成長に伴ってスプレー行動や外へ出たがる行動などがみられるようになります。
避妊・去勢手術には、望まない妊娠を防ぐだけでなく、発情に伴う行動や生殖器に関係する病気の予防につながるメリットがあります。
特に女の子では、早い時期に避妊手術を行うことで、将来の乳腺腫瘍の発生リスクを低下させることが知られています。
一方で、避妊・去勢手術には全身麻酔が必要です。
そのため、「早ければ早いほどいい」ということではなく、猫ちゃんの成長や健康状態を確認したうえで手術することが大切です。
手術前には血液検査とレントゲン検査を行います
避妊・去勢手術は、基本的には健康な猫ちゃんに行う手術です。
だからこそ、ルルキャットクリニックでは手術前に、

  • 元気や食欲に問題がないか
  • きちんと成長しているか
  • 心臓や呼吸の状態に問題がないか
  • これまでに大きな病気をしていないか
  • 現在飲んでいるお薬がないか

などを確認します。
さらに当院では、術前検査として血液検査と胸部レントゲン検査を行っています。
「元気だから検査しなくても大丈夫」と思われるかもしれませんが、普段は元気に過ごしている猫ちゃんでも、生まれつきの問題や、それまで気づかれていなかった病気が見つかることがあります。
特に、なかなか成長しない、体重が増えないといった猫ちゃんでは、検査結果が病気に気づくきっかけになることもあります。
手術前の検査は単なる形式ではなく、より安全に麻酔と手術を行うための大切な確認だと考えています。

※FIP(猫伝染性腹膜炎)については、別の記事でも詳しくご紹介します。

猫の避妊・去勢手術|当日の流れ

前日の夜から

手術前日の夜12時までは食事を食べていただいて大丈夫です。
夜12時以降は絶食してください。お水は手術当日まで飲んでいただいて構いません。
もし当日の朝にごはんを食べてしまった場合は、そのまま来院せず、まず当院へご連絡ください。

10時頃|ご来院・お預かり

来院後、まず猫ちゃんの体調を確認します。
問題がなければお預かりし、ここから飼い主さまとは少しの間お別れです。
血液検査と胸部レントゲン検査を行い、麻酔・手術を行ううえで問題となる所見がないか確認します。

13時頃|麻酔・手術

全身麻酔をかけて手術を行います。
ルルキャットクリニックでは、獣医師と動物看護師がペアになり、呼吸状態や体温などを確認しながら手術を進めます。
男の子は注射による麻酔・鎮静後、マスクによる吸入麻酔を使用し、手術そのものは10分程度。麻酔開始から覚醒までは全体で30分程度が目安です。
女の子は麻酔後にラリンゲルマスクで気道を確保し、呼吸を管理しながら手術を行います。手術は30分程度、麻酔開始から覚醒までは全体で60分程度が目安です。
※手術時間や麻酔からの覚醒時間には個体差があります。

痛みをできるだけ少なくするために

避妊・去勢手術では、安全な麻酔管理と同じくらい痛みをきちんと管理することを大切にしています。
当院では麻酔・鎮静薬だけに頼らず、術中の局所麻酔と複数の鎮痛薬を組み合わせ、できる限り術後の痛みを少なくすることを目指しています。
手術後には皮下補液を行い、全身状態を確認しながら麻酔からの覚醒を見守ります。
麻酔からしっかり覚め、呼吸や体温などに問題がないことを確認してから退院となります。
男の子は当日、女の子は状態に合わせて退院します
男の子は、問題がなければ手術当日の夕方に帰宅できます。
女の子は猫ちゃんの状態と飼い主さまのご希望を相談し、当日の夕方または翌日の退院としています。
入院した方が安心な猫ちゃんがいる一方で、病院という慣れない環境で強いストレスを感じたり、パニックになってしまったりする猫ちゃんもいます。
そういう猫ちゃんでは、状態に問題がなければ早めにご自宅へ帰ることをご提案することもあります。
やっぱり、お家の方が安心して過ごせる猫ちゃんも多いですからね。

帰宅後に見てほしいこと

帰宅後は、

  • 元気が少しずつ戻っているか
  • 食事やお水をとれているか
  • 何度も吐いていないか
  • 傷口から出血していないか
  • 傷口を過度になめていないか
  • 排尿できているか

などを見てあげてください。
麻酔や鎮痛薬の影響で、手術当日は眠そうだったり、普段より食欲が少なかったりすることがあります。
無理に食べさせたり飲ませたりする必要はありません。
通常は翌朝にかけて少しずつ普段の状態に戻っていきますが、ぐったりした状態が続く、呼吸がおかしい、何度も吐く、出血が続くなど気になることがあればご連絡ください。
傷口をなめないよう、エリザベスカラーまたは術後ウェアを使用していただきます。ご自宅でご用意いただいても構いませんし、当院でも販売しています。
術後は3日分の鎮痛薬を処方します。猫ちゃんのためにも、頑張って飲ませてあげてください。

猫の避妊・去勢手術の費用

ルルキャットクリニックでは、手術だけでなく麻酔・鎮痛管理や術後のケアまで含めて、猫ちゃんの負担をできるだけ少なくすることを大切にしています。

項目料金(税込み)
去勢手術(麻酔・鎮痛剤・皮下補液込み)11,000円
避妊手術(麻酔・鎮痛剤・皮下補液込み)22,000円
術前検査(血液検査+胸部レントゲン検査)8,800円
持続性抗生物質(コンベニア)体重×1,045円
術後鎮痛薬(3日分)1,496円〜(体重に応じて)
エリザベスカラー(オプション)3,300円
エリザベスウェア(オプション)4,400円
マイクロチップ挿入(オプション)4,400円

※猫ちゃんの状態によって追加の検査や処置が必要になる場合には、事前にご説明します。
避妊手術は「抜糸なし」の縫合も選べます
女の子の避妊手術では、ご希望に応じて、皮膚の下で縫合する埋没縫合(抜糸なし)を追加料金なしで選択できます。
猫ちゃんの性格や傷口の状態なども考えながらご相談ください。

マイクロチップは避妊・去勢手術のときがおすすめ

当院では、避妊・去勢手術の際にマイクロチップを一緒に挿入することもおすすめしています。
マイクロチップは起きている状態でも挿入できますが、避妊・去勢手術なら全身麻酔で眠っている間に行うことができます。
僕たちは災害時の動物医療支援にも携わっていますが、実際の災害現場では、家から逃げてしまった猫ちゃんを探す活動も行われています。
災害だけでなく、ちょっとした脱走などで猫ちゃんと離れてしまうことはあります。
そんなときに、猫ちゃんと飼い主さまをもう一度つなぐための大切な情報になるのがマイクロチップです。
避妊・去勢手術を予定している飼い主さまには、ぜひ一緒にご検討いただきたいと思います。

手術後は太りやすくなる?

避妊・去勢手術のあと、「以前と同じ量を食べているのに体重が増えてきた」という猫ちゃんは珍しくありません。
手術後は必要とするエネルギー量が変化するため、食事量やフードの内容を見直す必要が出てくることがあります。
そこで大切なのが、定期的な体重測定です。
見た目だけでは少しずつ増えている体重には気づきにくいもの。手術後も定期的に体重を記録して、食事管理に役立ててあげてください。

院長からひとこと

一頭一頭をしっかり診ながら、スムーズな手術を

避妊・去勢手術について、
「まだ小さいから、もう少し大きくなってからでいいですよね?」
と聞かれることがあります。
でも、猫ちゃんは私たちが思っているよりずっと早く大人になります。
だから僕は、ワクチンなどで子猫ちゃんを診察している頃から、「この子の避妊・去勢手術はいつ頃にしようか」という話を始めておくことが大切だと思っています。
そして、もうひとつお伝えしたいことがあります。
僕たちはこれまで、飼い猫ちゃんだけでなく、地域猫・野良猫の避妊去勢手術にも数多く携わってきました。
地域猫の手術では、多くの猫ちゃんに限られた時間の中で手術を行うことがあります。
だからといって、流れ作業にするわけではありません。
一頭一頭の体調を確認し、麻酔中の状態を見ながら、確実に、そしてできるだけ短時間で手術を終える。
経験を重ねるほど、丁寧に診ることと、スムーズに手術を行うことは両立できると感じています。
ルルキャットクリニックでも、これまで多くの猫ちゃんの手術に携わってきた経験を生かしながら、一頭一頭の状態に合わせた避妊・去勢手術を行っていきます。
手術の日だけではなく、その前の子猫ちゃんの時期から、手術後の体重管理まで。
猫ちゃんの成長を飼い主さまと一緒に見ていければと思っています。

まとめ

猫の避妊・去勢手術は子猫のうちから相談を

繁殖を予定していない猫ちゃんでは、初めての発情を迎える前、生後5〜6か月頃までをひとつの目安として避妊・去勢手術を検討します。
実際の手術時期は、月齢だけでなく体格や成長、健康状態などを確認して決めます。
大切なのは、「何か月になったら手術」とだけ覚えるのではなく、子猫ちゃんのうちから相談しておくことです。
相模原市で猫ちゃんの避妊手術・去勢手術をお考えの飼い主さまは、ルルキャットクリニックへお気軽にご相談ください。